2013.07.14 Sunday
【ネタバレ】ハリー・ポッター原著第7巻第35章(2/2)、メモ
●p.574
知っていたと思うが、目をつぶってしまった。もし計画が達成できたなら、私の夢が実現しただろう。
そしてその企みの核心が Deathly Hallows だった。二人はそれに魂をうばわれた。不敗の杖、それは力へと導いてくれる武器だ。甦りの石、ダンブルドアは気付かないふりをしたが、グリンデルヴァルトにとっては Inferi の軍団を意味していた。ダンブルドアにとってはそれは両親の帰還、そして自分の肩に担っているすべての荷を降ろすことを意味していた。
そして透明マントについては、あまり話し合わなかった。自分たちは透明マントなしでもうまく身を隠すことができたので、自分たちと同様に他人を隠すのに使えるというくらいの感じだった。Ariana を隠すのに役立つかなくらいで、透明マントに対する興味は、3つ揃えると死の支配者となるという伝説のためで、それは無敵となることを意味していた。
無敵である死の支配者、Grindelwald と Dumbledore! 狂気の2ヵ月、残酷な夢の、そしてダンブルドアに残されたたった二人の家族をないがしろにした2ヵ月間だった。
不安定な妹を連れて秘宝探しに出かけるなんて不可能だという弟の言う現実を聞きたくなかった。口論は喧嘩となった。Grindelwald は自制できなくなった。いつも彼の中に感じていたが見なかったことにしていたものが、突然恐ろしい存在となった。そして母親がくれぐれもよろしく頼むと言っていたのに、Ariana は死んで床に倒れた。
Dumbledore は泣き始めた。
Harry は Dumbledore の腕を握り、Dumbledore は徐々に持ち直した。
Grindelwald は逃げた。しかし Dumbledore がたきつけた夢と野望を実現しようとするだろう。
●p.575
年が過ぎ去り Grindelwald が計り知れない力の杖を手に入れたという噂が流れてきた。魔法省大臣になるよう請われたことも一度ならずあったが、断った。権力を持った自分は信用ならなかった。
「でもあなたは、Fudge や Scrimgeour より遥にましです」と Harry は突然叫んだ。
(以下も ダンブルドアの独白とハリーの慰めが続きます。以下語られたことは:)
権力がダンブルドアの弱点であり誘惑の元である。権力を持つにふさわしい者とは自らは権力を求めない者だ。そのような者は、Harry のようにリーダーとなることを無理に押しつけられ、そうせざるを得ないからそうして、そして驚くうちに後を継いでしまうのだ。
(そんな弱点を持つダンブルドアでも)Hogwarts では大丈夫だった。良き教師であり得たと思う。しかし若き魔法使い達を教えている間に、Grindelwald は兵を募り始めた。彼はダンブルドアをおそれているという噂だったがダンブルドアが彼をおそれている程度よりはおそれ方は少ないと思っていた。
死をおそれたのではない。魔法では若干ダンブルドアが上だと思った。Ariana を殺したのは、自分とグリンデルヴァルドとどちらの魔法なのかということだ。単に傲岸さと愚かさのために妹を殺してしまっただけではなくて、直接に妹の命の火を吹き消してしまったのではないかということだ。
結局これ以上引き伸ばすのは恥だというところまで対決を延ばした。人が殺されていき彼を止めるのは不可能に思われ、ダンブルドアは自分ができることをしなければならなかった。
結果は、知っての通り、決闘に勝ち、あの杖を勝ち取った。
●p.576
再び沈黙が訪れた。(ダンブルドアの独白終了)
Harry は Dumbledore がみぞの鏡で何を見たかを知り、またその鏡が Harry にとってどれほど魅惑的かをなぜ Dumbledore が知っていたのかが分かった。
二人は長い間黙って座っていた。後ろで例の生き物がめそめそしているのも気にならなかった。
「Grindelwald はVoldemort があの杖を手に入れるのを阻止しようとしました。嘘をついてそんな杖など持っていたことはないふりをしました」とHarryは言った。Dumbledore はまだ泣いていた。
「彼は後年 Nurmengard (の独房)で改悛したそうじゃ。Voldemort への嘘は償いだと思いたい。秘宝を渡さないための」
「あるいはあなたの墓を暴かさないために」と Harry。
しばらくしてまた Harry が口火を切った。「甦りの石を使ったのですね」
「その秘宝をこそ切望したのじゃ。どうかしていたのじゃ。今やそれが Horcrux であり指輪はきっと呪いが掛かっていることをすっかり忘れておったのじゃ。指輪を見つけたとき、拾い上げて指にはめて、そしてしばらくの間 Ariana と両親に会ってどんなに申し訳ないと思っているかを伝えたかったのじゃ。」
「わしはそれほどまでに愚か者じゃ。何も学んでおらなんじゃった。わしには秘宝を揃える資格が無いのじゃ。何度もそれを身を以て実証したあげくの最後の証明じゃった」
愚かじゃなくてそれが当然と慰める Harry。
「わしには一番見劣りのする非凡でないものだけが似合ったのじゃ
●p.577
自分の Elder Wand だけにふさわしかった。Elder Wand を自慢せず、それで人を殺さない。わしはそれを使うことを許された。なぜなら、それで奪うのではなく他人をそれから守ったからだ。
しかし、無駄な好奇心から手にした透明マントは、真の所有者である君に作用するようには、わしには働かなかっただろう。
甦りの石をわしは彼らの平安から引き戻すために使った、君のように自己犠牲のためではなく。」
もはや Harry には Dumbledore への怒りは無かった。
「なんで話を難しくする必要があったのですか?」
「(今思えば)Miss Granger が君の歩みを遅らせることを期待しておったならばと思うが、その時はわしは君の熱い頭が君の良心を制圧してしまうことを心配していたのじゃ。」
Dumbledore の語る、なぜ分かりにくくしていたかの説明:Dumbledore のようにこの秘宝の魅力に引きずられ、間違ったときに間違った使い方をしないかと心配した。手に入れたら必要なときまで安全に保管してもらいたかった。Harry は真の死の支配者、なぜなら、真の死の支配者は死から逃れようとしない。死ななければならないことを受け入れる。
Voldemort は死の秘宝について知っていたなら甦りの石を Horcrux にはしなかっただろう。知っていたとしても、甦りの石や透明マントには興味を示さなかっただろう。しかし、Harry の杖が Voldemort の杖を打ち負かしたので、杖は追い求めるに違いない。双子の芯ですべて説明がつくと思ったが借りた杖では負けていた。だから Voldemort は
●p.578
Elder Wand が、彼の最後の弱点を取り除き、無敵となると信じた。
Snape によって殺されると計画したとき、Elder Wand の最終保持者が Snape になる予定だった。しかしそうはならなかった。
後ろの生き物がびくっと動いてうめいた。 Harry と Dumbledore は長い間黙ったまま座っていた。
雪が優しく降り積もるように、Harry には次に何が起こるかが次第に分かってきた。
「僕は戻らなきゃいけませんよね?」
「それは君次第じゃ」
「選択できるということですか?」
「もちろんじゃ 戻らないのなら列車に乗ることができるじゃろう」
「どこへ着くのですか?」
「聖なる町じゃ」
またしばらく沈黙。
「Voldemort は Elder Wand を手に入れました。それでも僕に戻って欲しいのですね」
「もし戻ったならば、彼を永遠に止めるチャンスがあるじゃろう。約束はできんがの。しかしここに戻ることは君より彼の方が恐れているじゃろう」
「死者を哀れまず、愛無くして生きる者たちをこそ哀れむのじゃ」
「もし戻れば、傷つく者を減らし、引き裂かれる家族を減らせるじゃろう。それが望ましいゴールならば、今は別れを告げよう」
●p.579
Harry はうなずき、ため息をついた。
暖かく明るく平和なここを去り苦痛と喪失の恐れの中に戻るのは辛かったが、Harry は立ち上がり、Dumbledore も立ち上がり、長いこと見つめ合った。
「最後に1つだけ、これは現実ですか? それとも僕の頭の中で起きていることですか?」
「もちろん、君の頭の中で起きていることじゃよ、しかしそれが現実でないなんてことがあろうか?」
第35章、終わりました。34章で終わったはずのハリーの人生、終わってなかったようです。摩訶不思議なキングスクロス駅のようなしかし神秘的な世界で、死んだはずのダンブルドアとの会話。それによって、ダンブルドアの過去、行動の謎解きが行なわれました。全く防御もせずにヴォルデモートの殺人の呪文を喰らったハリーが何故死ななかったのかということも明らかになりました。ただ伏線として残されているものもあります。Elder wand の最後の正当なマスターはいったい誰になっているのか?ということ。スネイプになるはずだったが、うまく行っていない、と。では誰?
そして、ヴォルデモートに殺されて倒れたはずのところで終わっているハリーの人生。第36章ではそこからまた再開なのでしょうか?
次はいよいよ緊迫の最終章へと突入です。
第35章1へ戻る
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●p.574
知っていたと思うが、目をつぶってしまった。もし計画が達成できたなら、私の夢が実現しただろう。
そしてその企みの核心が Deathly Hallows だった。二人はそれに魂をうばわれた。不敗の杖、それは力へと導いてくれる武器だ。甦りの石、ダンブルドアは気付かないふりをしたが、グリンデルヴァルトにとっては Inferi の軍団を意味していた。ダンブルドアにとってはそれは両親の帰還、そして自分の肩に担っているすべての荷を降ろすことを意味していた。
そして透明マントについては、あまり話し合わなかった。自分たちは透明マントなしでもうまく身を隠すことができたので、自分たちと同様に他人を隠すのに使えるというくらいの感じだった。Ariana を隠すのに役立つかなくらいで、透明マントに対する興味は、3つ揃えると死の支配者となるという伝説のためで、それは無敵となることを意味していた。
無敵である死の支配者、Grindelwald と Dumbledore! 狂気の2ヵ月、残酷な夢の、そしてダンブルドアに残されたたった二人の家族をないがしろにした2ヵ月間だった。
不安定な妹を連れて秘宝探しに出かけるなんて不可能だという弟の言う現実を聞きたくなかった。口論は喧嘩となった。Grindelwald は自制できなくなった。いつも彼の中に感じていたが見なかったことにしていたものが、突然恐ろしい存在となった。そして母親がくれぐれもよろしく頼むと言っていたのに、Ariana は死んで床に倒れた。
Dumbledore は泣き始めた。
Harry は Dumbledore の腕を握り、Dumbledore は徐々に持ち直した。
Grindelwald は逃げた。しかし Dumbledore がたきつけた夢と野望を実現しようとするだろう。
●p.575
年が過ぎ去り Grindelwald が計り知れない力の杖を手に入れたという噂が流れてきた。魔法省大臣になるよう請われたことも一度ならずあったが、断った。権力を持った自分は信用ならなかった。
「でもあなたは、Fudge や Scrimgeour より遥にましです」と Harry は突然叫んだ。
(以下も ダンブルドアの独白とハリーの慰めが続きます。以下語られたことは:)
権力がダンブルドアの弱点であり誘惑の元である。権力を持つにふさわしい者とは自らは権力を求めない者だ。そのような者は、Harry のようにリーダーとなることを無理に押しつけられ、そうせざるを得ないからそうして、そして驚くうちに後を継いでしまうのだ。
(そんな弱点を持つダンブルドアでも)Hogwarts では大丈夫だった。良き教師であり得たと思う。しかし若き魔法使い達を教えている間に、Grindelwald は兵を募り始めた。彼はダンブルドアをおそれているという噂だったがダンブルドアが彼をおそれている程度よりはおそれ方は少ないと思っていた。
死をおそれたのではない。魔法では若干ダンブルドアが上だと思った。Ariana を殺したのは、自分とグリンデルヴァルドとどちらの魔法なのかということだ。単に傲岸さと愚かさのために妹を殺してしまっただけではなくて、直接に妹の命の火を吹き消してしまったのではないかということだ。
結局これ以上引き伸ばすのは恥だというところまで対決を延ばした。人が殺されていき彼を止めるのは不可能に思われ、ダンブルドアは自分ができることをしなければならなかった。
結果は、知っての通り、決闘に勝ち、あの杖を勝ち取った。
●p.576
再び沈黙が訪れた。(ダンブルドアの独白終了)
Harry は Dumbledore がみぞの鏡で何を見たかを知り、またその鏡が Harry にとってどれほど魅惑的かをなぜ Dumbledore が知っていたのかが分かった。
二人は長い間黙って座っていた。後ろで例の生き物がめそめそしているのも気にならなかった。
「Grindelwald はVoldemort があの杖を手に入れるのを阻止しようとしました。嘘をついてそんな杖など持っていたことはないふりをしました」とHarryは言った。Dumbledore はまだ泣いていた。
「彼は後年 Nurmengard (の独房)で改悛したそうじゃ。Voldemort への嘘は償いだと思いたい。秘宝を渡さないための」
「あるいはあなたの墓を暴かさないために」と Harry。
しばらくしてまた Harry が口火を切った。「甦りの石を使ったのですね」
「その秘宝をこそ切望したのじゃ。どうかしていたのじゃ。今やそれが Horcrux であり指輪はきっと呪いが掛かっていることをすっかり忘れておったのじゃ。指輪を見つけたとき、拾い上げて指にはめて、そしてしばらくの間 Ariana と両親に会ってどんなに申し訳ないと思っているかを伝えたかったのじゃ。」
「わしはそれほどまでに愚か者じゃ。何も学んでおらなんじゃった。わしには秘宝を揃える資格が無いのじゃ。何度もそれを身を以て実証したあげくの最後の証明じゃった」
愚かじゃなくてそれが当然と慰める Harry。
「わしには一番見劣りのする非凡でないものだけが似合ったのじゃ
●p.577
自分の Elder Wand だけにふさわしかった。Elder Wand を自慢せず、それで人を殺さない。わしはそれを使うことを許された。なぜなら、それで奪うのではなく他人をそれから守ったからだ。
しかし、無駄な好奇心から手にした透明マントは、真の所有者である君に作用するようには、わしには働かなかっただろう。
甦りの石をわしは彼らの平安から引き戻すために使った、君のように自己犠牲のためではなく。」
もはや Harry には Dumbledore への怒りは無かった。
「なんで話を難しくする必要があったのですか?」
「(今思えば)Miss Granger が君の歩みを遅らせることを期待しておったならばと思うが、その時はわしは君の熱い頭が君の良心を制圧してしまうことを心配していたのじゃ。」
Dumbledore の語る、なぜ分かりにくくしていたかの説明:Dumbledore のようにこの秘宝の魅力に引きずられ、間違ったときに間違った使い方をしないかと心配した。手に入れたら必要なときまで安全に保管してもらいたかった。Harry は真の死の支配者、なぜなら、真の死の支配者は死から逃れようとしない。死ななければならないことを受け入れる。
Voldemort は死の秘宝について知っていたなら甦りの石を Horcrux にはしなかっただろう。知っていたとしても、甦りの石や透明マントには興味を示さなかっただろう。しかし、Harry の杖が Voldemort の杖を打ち負かしたので、杖は追い求めるに違いない。双子の芯ですべて説明がつくと思ったが借りた杖では負けていた。だから Voldemort は
●p.578
Elder Wand が、彼の最後の弱点を取り除き、無敵となると信じた。
Snape によって殺されると計画したとき、Elder Wand の最終保持者が Snape になる予定だった。しかしそうはならなかった。
後ろの生き物がびくっと動いてうめいた。 Harry と Dumbledore は長い間黙ったまま座っていた。
雪が優しく降り積もるように、Harry には次に何が起こるかが次第に分かってきた。
「僕は戻らなきゃいけませんよね?」
「それは君次第じゃ」
「選択できるということですか?」
「もちろんじゃ 戻らないのなら列車に乗ることができるじゃろう」
「どこへ着くのですか?」
「聖なる町じゃ」
またしばらく沈黙。
「Voldemort は Elder Wand を手に入れました。それでも僕に戻って欲しいのですね」
「もし戻ったならば、彼を永遠に止めるチャンスがあるじゃろう。約束はできんがの。しかしここに戻ることは君より彼の方が恐れているじゃろう」
「死者を哀れまず、愛無くして生きる者たちをこそ哀れむのじゃ」
「もし戻れば、傷つく者を減らし、引き裂かれる家族を減らせるじゃろう。それが望ましいゴールならば、今は別れを告げよう」
●p.579
Harry はうなずき、ため息をついた。
暖かく明るく平和なここを去り苦痛と喪失の恐れの中に戻るのは辛かったが、Harry は立ち上がり、Dumbledore も立ち上がり、長いこと見つめ合った。
「最後に1つだけ、これは現実ですか? それとも僕の頭の中で起きていることですか?」
「もちろん、君の頭の中で起きていることじゃよ、しかしそれが現実でないなんてことがあろうか?」
第35章、終わりました。34章で終わったはずのハリーの人生、終わってなかったようです。摩訶不思議なキングスクロス駅のようなしかし神秘的な世界で、死んだはずのダンブルドアとの会話。それによって、ダンブルドアの過去、行動の謎解きが行なわれました。全く防御もせずにヴォルデモートの殺人の呪文を喰らったハリーが何故死ななかったのかということも明らかになりました。ただ伏線として残されているものもあります。Elder wand の最後の正当なマスターはいったい誰になっているのか?ということ。スネイプになるはずだったが、うまく行っていない、と。では誰?
そして、ヴォルデモートに殺されて倒れたはずのところで終わっているハリーの人生。第36章ではそこからまた再開なのでしょうか?
次はいよいよ緊迫の最終章へと突入です。
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